ドラムセットの機材紹介スネア編②

201506/23

ドラム

～スネア編　後編～

前回ドラムセットの中心的役割として主にスネアドラムの材質についての記事を書きました。
ドラムセットの機材紹介スネア編①
今回は鳴りについての仕様をご説明します。

スネアドラム

スナッピーと裏ヘッドの密着をよくし、反応の良くキレのある音を出すために、
スナッピーの両側に位置する、シェルのエッジ部分はわずかに削り落とされています。
これをスネア・ベッドと呼び、その形状がスナッピーの響き方に影響を及ぼすと知られています。
一般にヴィンテージスネアには深くえぐったスネアベッドが多く、最近のスネアにはそれとわからないほどゆるやかに削り落とされたものが多いです。
前者は広い会場や野外での演奏時にスナッピー音が遠くまで届く性質に優れ、後者は打音をそばで聴いたときに美しく聞こえる性質に優れています。

現在ではほとんどのメーカーがゆるやかなカーブのスネアベッドを採用していますが、
その理由の１つとして、どんなコンサート会場にもPAシステムが整い、
1960年代のようにドラムの生音を大きな会場の隅々まで響かせる必要がなくなったことが挙げられます。つまり遠達性がさほど求められなくなったからです。また、楽器店でスネアを試奏する際、そば鳴りするほうがウケがよく、メーカーもそれを無視できていないようです。

広い会場で存在感がある音を遠くまで響かせたいときには遠達性に優れたスネアを重宝しますが、
えぐりが深いスネアベッドをもつ裏ヘッドを上手にチューニングする事は大変難しいです。
これも深いスネアベッドが敬遠される理由の１つとなっています。
この問題の奥にはドラマー自身がいい音を聴きたいのか、それとも聴いている人にいい音を聴かせたいのかという見解の違いが潜んでいます。
もちろんドラマー自身も観客側の視点も考えてはいますが、いずれにせよドラマーの音楽感が大いに出てくるポイントです。

フープについて

これはリムとも呼ばれ、昔は木製でした。
現在では耐久性の理由でほとんどが金属製になってますが、例外的に分厚い合板で耐久性を高めた木製フープもあり、人によっては好みが大きくわかれる材質の違いです。
プレスフープと呼ばれるものは、主にスチール板やブラス板をプレス機で成形したもので、明るく開放的で伸びのある音を特徴としています。
形状には外曲げ対応と内曲げ対応の二種類のタイプがあり、後者はかつてスリンガーランド社のドラムに採用されていました。
亜鉛合金でつくられているダイキャストフープは、音を重く引き締める働きがあります。
アルミダイキャスト製フープは重量が軽いため、音の引き締め効果は低めです。
かつてダイキャストフープは高級品というイメージがあったが、現在は今ではそのような見方はなくなり好みで選ばれています。

余談ですが、かつて日本の呑羅宇の大半が日本製だった頃、プレスフープの多くはアラヤ工業というメーカーが製造しておりました。
このメーカーは自転車のリムなどを作るのが本業で、ドラムのフープ製造はその技術を応用したものでした。
残念なことに、現在アラヤ工業はドラムフープの生産を行っておらず、フープのほとんどは海外からの輸入になってしまいました。
また１つメイドジャパンのパーツが消えてしまったのです。

メイドインジャパンはドラムに限らず高品質と耐久性を兼ね備えた素晴らしい技術が詰まっていただけに、
日々メイドインジャパンが少なくなってきているのは非常に残念です。

ギタリストはギター、ベーシストはベースと愛用機材を持っているように、
ドラマーがドラムセットを持つのは中々ハードルが高いですが、愛用スネアを持っている方は多いですよね。

上述した方に色々な種類のスネアを一つずつ試していって、本当に自分に合う最高のスネアに出会えると嬉しいですよね。

名古屋音楽スタジオ　リフレクトスタジオでは様々なスネアドラムが導入されていますので、
是非ドラマーの皆様には個人練習、バンド練習などで自分に合うスネアを探してくださいね。

次回はドラムセットの機材タムタムをご紹介します。