音楽歴史・偉人紹介ビートルズ編⑬

201507/24

音楽歴史・偉人

第十三回ビートルズとは一体何だったのかをご紹介します

世界史で見るビートルズとは

今回は前回の続きからまとめていきたいと思います！

20世紀後半、世界は一変しました。
それ以前、地球上のごく一部(西欧および西欧的な国々)に住む特定の人種のエリートたちが、科学技術を占有し、富と権力を集め、高尚な文化を築きながら、それ以外のすべての人たち(「遅れた」「愚かな」「野蛮な」人たち)をコントロールしていた。
これを帝国主義の時代、植民地主義の時代、または単に「近代」と呼びます。(これらの言葉を専門家は使い分けていますが、このコラムでは、言葉の定義にはこだわらず、時代を大きく捕まえる練習をしましょう。 )
「近代」のこちら側を「現代」と呼びます。
「近代」のエリートは、「野蛮」から自分たちを遠のけておく必要がありました。またエリートでない人たちも、エリートに憧れる限り、この「野蛮」のイメージを共有し、そこを脱出して、文明の進んだ、都市のきらびやかな世界に身を置きたいと願いました。ちょっとむずかしい言い方になりますが、近代人は、文明と野蛮の分裂を生きていたということができます。
「近代」には、どんな「野蛮」なイメージがあったのでしょうか。これをコラムで語るのは、あまりうまくありません。
「近代」を抜けてもまもない私たちを、「革命」以前の感じ方に引き戻してしまう恐れがあるからでしょうか。
「現代」では、それを描いたり口にしたりすることはタブー視されています。
ぐりぐりの目玉、厚い唇、ニタッとむいた白い歯。やっぱりここら辺にしておきましょう。

「野蛮な音楽」というのもありました。太鼓をたたいて、叫び声をあげるのですね。「土人」たちは。そして踊りまくるのですね。
「野蛮」の仲間には、「ドジン」「イナカッペ」の他に「バイタ」というのもありました。淑女すなわちエリートの女たちが、コルセットで体を締め上げ、くるぶしまで丈があるふわりとしたスカートで歩いていた一方で、「身を持ちくずした」女たちはどんな格好して夜の商売をしたのか・・・。
さて、今度は「現代」の町の風景を思い浮かべて下さい。
タイコと叫び声の音楽が「ロック」と呼ばれて市民社会へ浸透してくると、それに合わせるようにして、一般市民の服装が、髪型なんかを含めて、徐々にかつての「娼婦風」になってきていませんか？ちょっと言い方がまずかったかもしれません。
私が言いたいのは、タイトなミニスカートで、胸元もちょっと開けたりして、カツカツと高らかに靴音を鳴らして歩くと、なんか「仕事の出来る人」って感じる、そういうことは、50年前にはありえなかったということです。
あと、吠える政治家っていうのが、このごろいますよね。胸の内をストレートに晴らすようなパフォーマンスをすると、首相の支持率が上がるとか。これも、ロックが私たちの文化の規範になったということと無関係ではないでしょう。

ロックと言っても、ビートルズ以降は、すごく幅が広がりました。現代のロック系音楽の気持ち良さには、際限がありません。
シャウトとスラッシュの快感、自然との合致感覚。電子テクノロジーとの一体感。ノイズ。アコースティックな耳触りの良さ。
暴力性とも優しさとも、土の香りともテクノとも、ロックは簡単に結ばれます。
美的・商業的な発展性をもつあらゆるイメージと親和的であるところに、私たちの音楽の現代性があるのですね。
そういう体制の下に、私たちは生きているのです。
ロックとは、最大多数の最大快感をめざす文化に根を下ろした音楽です。この音楽を、地球上に浸透させ、「現代」の社会・経済・文化のしくみを立ち上げるうえで大きな働きをしたヒーローとして、今日はビートルズの勉強をしてきました。
さて今回はここまでにしたいと思います！次回は「60年代を生きる感覚」についてまとめていきたいと思います！

皆様もリフレクトスタジオに来ていろんな音楽に触れて、その時代の風景や感覚を味わってくださいね！