パンクと呼ばれた音楽の歴史背景　1980年代編

201507/08

音楽歴史・偉人

1980年代　忌野清志郎

忌野清志郎が君が代のパンクヴァージョンを発表した時のことを皆さんご存知ですか？
セックスピストルズがゴッド・セイヴ・ザ・クイーンを発表してから22年、日本では国歌のパンクヴァージョンがじつに冷酷な待遇を受けていました。
イギリスの有名な新聞では、日本人の人気ロック歌手が国家のパンクヴァージョンを歌ったことを問題にしているわけではなく、その曲を放送したがらない日本のマスメディアと、その音楽文化状況を問題視していたのです。
記事からは、「なぜこの勇気ある行為をもっとまわりが盛り上げてやらないのか」そんな声が聞こえていました。
忌野清志郎はこの件に対して、こう述べています。
「それが放送されないのは、みんな怖がっているからです。僕は、論争の材料を提供しているだけなんです。だけど、業界はとても臆病です。我々国民の平和への願いもその程度ということです。」
「世の中はもう変わらないと諦めてしまっては、人は家畜みたいになってしまう。」

イギリスが日本に対してじれったさを感じるのも、もしこれがイギリスなら「よくやった」と言わんばかりに各音楽師の表紙を飾ったり、新聞では擁護派と否定派の間で論争が起きたり、特番が組まれたりして大騒ぎになっていたことでしょう。
生放送の人気番組で放送禁止用語を連発する清志郎の姿に、いったい何人の人間が心の底を熱くしたのでしょう。
セックスピストルズやザ・ＫＬＦの破天荒様に笑い、涙したイギリスの人々の気持ちもきっとこのような感じだったのかもしれません。
もしここがイギリスなら、忌野清志郎はヒーローどころではなく神扱いされていたかもしれないですね。

RCサクセション

RCサクセションとしてもっとも政治的なアルバム、「カバーズ」では原発問題に触れ、当時契約していたレコード会社に電力会社の資本が入っていたという政治的な理由によって発売中止となり、結局ほかのレコード会社からのリリースとなりました。
そして、「カバーズ」発表後のライブを収録した「コブラの悩み」では当時の清志郎の怒りが生々しく反映されていました。
一曲目のボブ・ディラン／アイ・シャル・ビー・リリーストの日本語カバーではこう歌っていました。

頭の悪い奴らが圧力をかけてくる　あきれてものも言えねえまたしてもものが言えねえ
権力を振り回す奴らがまた我儘をいう　俺を黙らせようとしたが
かえって宣伝になってしまったとさ

リスクを負った音楽表現というのはどれほどあったでしょうか。
あのころでいえば、ブルーハーツの”街”　”チェルノブイリ”と言う曲も、バンド側も知らないくらい大きな影響を与えていました。
彼らは大きな舞台でこの臆病な国においても音楽を通した政治的な異議申し立てをすることは可能であると証明していったのですね。
でもブルーハーツの曲がふとスタジオ内から流れてくることがあります。
受付でブルーハーツのあの曲いいよね！なんてお話をして、よく盛り上がっています！

1950年代にエルヴィス・プレスリーがやったことを、
1960年代にビートルズがやったことを、
1970年代にセックスピストルズがやったことを、

1980年代の日本で、RCサクセションはやったのです。

RCサクセションは人々の人生に新しい定義を与え、上から与えられるメインストリームな生き方に従わなくても、人生には面白いことが待っているということを教えてくれました。

ロックンロールが始まる　理屈じゃないだ
ロックンロールに嘘はない　嘘つきはいない
宗教も思想もいらない　俺は何ももたない
ロックンロールの神様　俺にはついてる

（ROCK ME BABY）

忌野清志郎の声を聴くと、余計なつまんない考え事もすべてふっとんでいくほど心に響いてきますね！
今回はここまでとなりますが、ご紹介したカバーズを是非聴いてみて下さい。
最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。

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